鋭い刃が、まさに白い肌を貫こうとした瞬間。その瞬間に、女の指輪から、冷たい、強烈な光が放たれた。激しい光の中に飲み込まれて、反射的に男が両腕で顔をかばう。
間髪を入れず、男の身体が、まるで見えない巨人の手に突き飛ばされたかのように、いきなり後ろに向かって吹き飛ばされた。あまりにも強大な力に、鍛え抜かれた身体が、空中でくの字に折れ曲がる。
指輪から放たれる光はますます強くなり、一瞬にして部屋中が青白く染まった。光に照らし出された男の身体が、中空に弧を描いて、恐ろしい勢いで向かいの石壁に叩きつけられる。食いしばった歯の間から呻き声を漏らすと、男はずるずると膝から崩れ落ちた。その手からナイフがこぼれおち、からからと乾いた音を立てて床に転がる。
女は、あまりのことに呆然として、暫くベッドの上から動けないようだった。両手で口を押さえ、大きく目を見開いたまま、喋り方すら忘れてしまったかのようだった。悲鳴もあげなければ、助けを呼ぼうともしない。
部屋の中は、先ほどのことが嘘のように静まり返り、小さな窓からは、いつの間にか再び月明かりが差し込んでいた。柔らかい光に照らされて、花瓶に活けられた白百合は、心なしか輝きを増したように見える。
やがて、男が小さく呻き声をあげて身じろぎした時、彼女もまた、やっと我に返った。転がるようにベッドから降りると、床に崩れ落ちた男のもとへと駆け寄る。彼女は、男の肩に手を伸ばそうとした。
だが、男がそれを許さなかった。女の手が身体に触れようとした瞬間、恐ろしい、紅い視線が彼女の目を捉えた。
「触れるな!」
剥き出しの殺気が込められた激しい言葉に、女がびくりと身を震わせ、伸ばしかけていた手を、ゆっくりと引っ込める。
二人は、何も喋らなかった。薄暗い部屋の中は、すっかり落ち着きを取り戻し、男は壁にもたれかかったまま、女は床の上にしゃがみこんだまま、動こうともしない。時折、息遣い、風の音が聞こえるほかは、物音すらしない。
女の指輪も、今ではすっかり鳴りをひそめ、月明かりを照り返すばかりに見えた。
間髪を入れず、男の身体が、まるで見えない巨人の手に突き飛ばされたかのように、いきなり後ろに向かって吹き飛ばされた。あまりにも強大な力に、鍛え抜かれた身体が、空中でくの字に折れ曲がる。
指輪から放たれる光はますます強くなり、一瞬にして部屋中が青白く染まった。光に照らし出された男の身体が、中空に弧を描いて、恐ろしい勢いで向かいの石壁に叩きつけられる。食いしばった歯の間から呻き声を漏らすと、男はずるずると膝から崩れ落ちた。その手からナイフがこぼれおち、からからと乾いた音を立てて床に転がる。
女は、あまりのことに呆然として、暫くベッドの上から動けないようだった。両手で口を押さえ、大きく目を見開いたまま、喋り方すら忘れてしまったかのようだった。悲鳴もあげなければ、助けを呼ぼうともしない。
部屋の中は、先ほどのことが嘘のように静まり返り、小さな窓からは、いつの間にか再び月明かりが差し込んでいた。柔らかい光に照らされて、花瓶に活けられた白百合は、心なしか輝きを増したように見える。
やがて、男が小さく呻き声をあげて身じろぎした時、彼女もまた、やっと我に返った。転がるようにベッドから降りると、床に崩れ落ちた男のもとへと駆け寄る。彼女は、男の肩に手を伸ばそうとした。
だが、男がそれを許さなかった。女の手が身体に触れようとした瞬間、恐ろしい、紅い視線が彼女の目を捉えた。
「触れるな!」
剥き出しの殺気が込められた激しい言葉に、女がびくりと身を震わせ、伸ばしかけていた手を、ゆっくりと引っ込める。
二人は、何も喋らなかった。薄暗い部屋の中は、すっかり落ち着きを取り戻し、男は壁にもたれかかったまま、女は床の上にしゃがみこんだまま、動こうともしない。時折、息遣い、風の音が聞こえるほかは、物音すらしない。
女の指輪も、今ではすっかり鳴りをひそめ、月明かりを照り返すばかりに見えた。
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